中近両用レンズ(Ⅰ)

中近両用の処方には、2通りの方法があります。

 

【Ⅰ】室内で普通に使う中近両用

 
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これは遠近両用と同じように【遠用度数と加入度(ADD)】で中近両用レンズを発注します。そうする黒眼の前に遠用よりも若干中間寄りの度数がおまかせで設定されます。近用には検査した老眼の度数が入ります。室内用に開発されたものは、このようにaboutな設計の中近両用レンズです。
※このタイプのレンズは、上の方に遠用度数が入っています。
 
遠用部の度数
近用部の度数
上下が狭い型のレンズだと切れて無くなり、上下が広い型のレンズだと上の方に入ります。 通常の老眼度数が入ります。
 中間部の度数 
遠用よりも若干中間寄りの度数が黒眼の前に自動的に入ります。この部分の度数をあらかじめ処方箋で定める事は出来ません。
処方箋の書き方は、下記画像のように遠近両用と同じ度数を記載して構いません。備考欄に「中近両用で」と追記しておけば良いです。
 
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この処方箋は、遠用度数と近用度数をそれぞれ記載し、備考欄に「中近両用希望」と書いてあります。この処方箋で中近両用を作る場合はaboutな設計タイプの中近両用レンズを使う事になります。黒眼の前にくる度数はおおむね+0.50D前後です。



 

しかし、出来上がった眼鏡をレンズメーターで測定すると、中近になっていない・・

 

(例)右レンズの測定
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1.【最初に測定する場所(レンズの上方)】レンズメーターが両用レンズを測定する場合、レンズの一番マイナス寄りの度数を最初に測定しますので、「sph-0.25D」が測定されます。
 
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2.【次に測定する場所(レンズの下方)】次は近用度数を測定するので、レンズメーターはレンズの一番プラス寄りの度数を測定し始めますので、「sph+1.50D」が測定されます。
 
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3.【測定結果】レンズの上部がsph-0.25Dで、レンズの下部がsph+1.50Dとなった場合、「sph-0.25D ADD+1.75」とプリントアウトされてきます。
 
 結論 
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測定結果が遠用度数と近用度数を記載した処方箋と同じ数値になるので、眼科ではこのレンズが中近両用になっているのかどうか分からないのです。aboutな設計の中近両用レンズは必ずこの問題に直面します。