近視(成人)

過矯正( かきょうせい)に注意しましょう!

 

完全矯正を超えると過矯正になります。

レンズの度数を上げて行くと同時に視力も上がって行きます。視力が最も良く出た時の度数が完全矯正値と言い、その時の眼の実際度数です。この完全矯正値よりも更に度数を上げて行くと今度は視力は下がってしまいます。御自身の眼に対して度数が強過ぎる為に視力が下がってしまうのです。この事を過矯正と言います。低矯正や過矯正は「red & green -2色テスト- 」で分かります。
 
DSC_0040
視力と矯正度数のグラフ

(例)この人の眼は、「赤緑共に同じ鮮明さ」となる矯正視力1.2の-6.00Dが完全矯正値となります。
(例)矯正視力が同じ1.2でも、「緑色が鮮明」になる-6.50Dからは、強過ぎる度数(過矯正)となります。
 
「red & green -2色テスト- 」
 
DSC_0040
眼に存在する度数に対してちょうど良く矯正されると、赤緑共に同じ明るさとなります。まだ弱い矯正の場合は赤色が鮮明になって緑色が暗くなります。反対に、眼に存在する度数に対して強過ぎる矯正になっていると赤色が暗くなって緑色が鮮明になります。

赤色がはっきりしている時は、まだ眼に対してこの度数は強過ぎていませんという合図。緑色がはっきりしてきたら眼に対して度数が強過ぎていますという合図です。眼鏡、コンタクトレンズ共に「緑色」が鮮明にならない度数を使う事が基本です。

 
 
DSC_0040
眼鏡・コンタクトレンズ共に、新しく作る場合も度数をアップする場合も、オレンジ色の点線で示した範囲内の度数で定めなくてはなりません。



 
 
 

眼鏡とコンタクトを併用している人が注意する事。

近視が強くなってくるとコンタクトレンズを主に使う人が増え、装用時間も長くなりがちです。殆んど眼鏡は使わないという人もいます。こういった場合に多い例として次のような事があります。
 
【持っていても殆んど使わない眼鏡なので、過去に作った度数のまま持っている人】
眼病等でコンタクトレンズを一時的に中止する事もありますから、弱めでも構わないので違和感無く装用出来る眼鏡を持っておく必要があります。
 
【眼鏡を掛けると具合が良くないので使わない人】
度数の強い眼鏡を持っている可能性が高いです。コンタクトレンズ装用では良好な視力に合わせても眼鏡にありがちな悪い装用感をほぼ感じません。コンタクトレンズと同じ感覚で眼鏡も強く合わせてしまうと、十中八九具合が悪い眼鏡になります。室内用として度数を下げると違和感が和らぎますので、家の中で使う眼鏡として度数を弱くする事を推奨します。


老眼初期の眼鏡装用者の注意。

40歳以降は、遠くが抜群に見える眼鏡では近距離が見にくいという症状が現れて来ます。良好な視力になっているという事は網膜上にピントが合っている状態なので、眼の中は「正視眼」と同じ構図です。そのまま近くを見ると網膜の後ろにピントがずれるのですが、今迄は若さゆえの柔軟な調節力で水晶体が厚くなってくれたので網膜上にピント合わせが出来ていました。※下記画像(Ⅰ)を参照
40歳以降は調節力の低下が始まる年齢です。今までのように水晶体が充分に厚くならず、網膜の後ろにずれたピントを網膜上に合わせられなくて近くがぼやけてしまうのです。過矯正と呼ばれる「眼の度数よりも強いレンズ」を使っている訳ではなく、遠くに丁度良く合ったレンズでも水晶体の動きが鈍化してきた為に、近くが見にくいという症状も過矯正の部類に入ります。遠くの度数を幾分下げる事で近くを見た際に網膜の後ろへピントがずれるのを抑制出来るのです。
※下記画像(Ⅱ)を参照
 
まだ老眼の年齢ではない水晶体と、老眼が始まった水晶体
 
DSC_0040
 
DSC_0040
充分な調節力が備わっている老眼前の年齢では、遠用レンズのままで近距離を見ても瞬時に水晶体が厚くなりピントを網膜に合わせる事が可能です。
 
 
DSC_0040
 
DSC_0040
水晶体を厚くする調節力が弱くなってくると、遠用レンズのままで近距離を見ると網膜の後ろにピントがずれたままになってしまいます。現在の調節力でも網膜上にピントを合わせられるようにするには「遠用度数を下げる」事が重要。まだ老眼初期の眼であればこれで充分に対処出来ます。