【80代男性】遠近両用「二重焦点ガラスレンズ」

一定の年齢層の方は皆様が御存知の「遠近両用二重焦点レンズ」。1枚のレンズに老眼が組み込まれており、遠⇔近の切り替えを可能にしたものです。現在主流の遠近両用と言われているレンズは、累進多焦点と言い、境目を無くして遠⇒中⇒近とマルチに焦点が合うようにしたものです。一般的には、遠近両用と言うと境目を無くした累進多焦点レンズを指しますが、両者は全く違うものであります。
 
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【二重焦点レンズ】

遠用レンズの中に近用レンズを小さくして埋め込んであるので、自分の眼でハッキリと「遠」と「近」を確認できる安全性があります。近用部以外は全て遠用なので広くて見やすい視野性を持ち、高齢者には使いやすいレンズです。境目無しの遠近両用のように「レンズのどこで見ていいか分からない」「地面が浮いて歩けない」と言う事がないのが最大の特徴。

近用部(小玉)の幅も25mm、28mm、45mmと選べて、老眼部分は境目無しの遠近両用レンズより3倍以上の見易さが確保できるレンズなのです。一般に近用部(小玉)幅は、25mm、28mmのタイプを使用する人が殆んどです。この二重焦点レンズを長年使い続けている人は、境目を無くした遠近両用レンズを使う事は出来ません。「見えにくい!」とおっしゃるはずです。

 
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【累進多焦点レンズ】

「境い目のない遠近両用レンズ」と言われています。「遠方、中間、近方」レンズの上から下に向かって度が流れていて、レンズの上中下では見え方が変わります。揺れ・歪みが発生する事があり、慣れないうちは足元の段差が分かりづらい事があります。視野が広く設計された製品と、そうでない製品とでは違いが明白。老眼が強くない年齢のうちからスタートすると、これ1つで遠中近にピントが合うのでとても便利です。
 
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【二重焦点レンズには、歪みがない】

「遠用レンズ」の中に「近用レンズ」を埋め込んであるシンプルな構造。職業上、目線がずれると度数が変わってしまう累進多焦点ではなく、このレンズしかだめだという人も多くおります。

二重焦点レンズは、累進多焦点レンズが世に出るずっと前からある遠近両用レンズです。プラスチック製・ガラス製共に現在もあります。製作工程の中でも、小玉(老眼)を貼り付ける作業は一番の技術を要する難易度の高いレンズです。其れなりの製造技術を持っていない会社では作れません。近年、眼鏡業界にも様々な業態が出始め、中には二重焦点レンズを取り扱っていない眼鏡店もあります。二重焦点レンズを使っている御客様の比率は、遠近両用装用者全体の1割 ~ 2割位といった比率でしょうか。このようなレンズを見たこともない、加工したこともない眼鏡技術者も居るかと思います。装用者の比率が下がっているとは言え、無くなることのないレンズであるという事は、このレンズにしかない良さがあるからです。

 
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【ガラス製二重焦点眼鏡】

ガラスレンズの利点はキズ・熱に強い耐久性と、素材が変形しないので光学性が狂わない事です。※度数が強いと重くなってしまいます。