近用眼鏡を必要とする近視

老眼症状が、ある / ない

※ここでは、常に遠用眼鏡の装用が必要である近視の眼を対象に書いています。
「近視の人は老眼にならない」とも言われる事がありますが、誰でも一定の年齢に達すれば老眼が始まります。近視の眼で「老眼が始まっていない」「老眼が始まっている」の区別は簡単に判断できます。
近視の老眼症状
遠くに合わせてある眼鏡で、近くの文字が読める。 老眼ではありません。下の画像のように水晶体が膨らんで網膜に焦点を戻す事が出来ます。(調節力が低下していない)
 
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遠くに合わせてある眼鏡を外さないと近くの文字が読めない。 老眼の症状です。近くを見ると焦点は網膜の後ろへずれます。水晶体の膨らみが弱い為、網膜に焦点を戻せない。(調節力の低下です。物を離せば見えます。)
 
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近視は老眼の合わせ方が、いくつもある

どういう老眼鏡にするか・・
いつもの遠用眼鏡の他に、近用眼鏡を持つ 強度近視の人に多い、見え方がいちばん優れた最もオーソドックスな方法です。(単焦点眼鏡を2つ)
遠近両用眼鏡にする 仕事の都合上、遠用と近用の取替えが出来ない人はこの方法です。見える範囲は単焦点よりも狭くなります。
遠用眼鏡のままで近くも見えるようにする まだ老眼が弱いうちだけですが、「遠くはそれほど見えなくてもいい」という人限定の方法です。
眼鏡を外して、近くは裸眼で見る 眼鏡の度数が-2.50D ~ -3.50Dの人で年齢が55歳以上の人、この人達の近用度数というのは±0.00に近いのです。御自身の眼が近用眼鏡の役目を果たします。検眼結果で、+0.50Dなどの老眼や乱視で近くが見やすいデータになったとしても、裸眼と矯正レンズの比較をすると裸眼の方が良いと答える人が圧倒的です。


① ~ ④ の解説

①いつもの遠用眼鏡の他に、近用眼鏡を持つ

 
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強度レンズの特徴は、レンズの中心がほんの数ミリ動いただけで像が大きく歪みます。上の画像のように、-10.00Dのレンズは中心が瞳から2.0mmズレると「2.0プリズム」が発生し、斜視の矯正に用いるプリズム加工レンズと同じになってしまいます。
 
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度数が強くなっていくと、レンズの中央付近と端の方の見え方の違いに極端な差が出ます。複数の焦点があってレンズの上や下を使う累進多焦点(遠近両用)よりも、レンズ中央だけを使う安定した見え方のシングルビジョン(単焦点)の方が、強度の人には適しています。



 
 

②遠近両用眼鏡にする

 
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中等度近視からは裸眼で見える距離が近いので、その先はぼやけてしまいます。身の周りを見る為にはマイナス(凹)レンズを近用度数とした明視距離を伸ばすための老眼が必要。働いている人は遠近両用の方が業務がスムーズになります。



 
 

③遠用眼鏡(単焦点)のままで近くも見えるようにする

 
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完全矯正値に、その人の老眼に相当する+1.00 ~ +1.50を加入した度数を遠用として処方する方法です。
 
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(Ⅰ) 眼鏡を1.2等の視力にしていると網膜上にピントが合っており、近くを見ると網膜の後ろにピントがずれてしまうので文字がぼやけてしまう。
(Ⅱ)老眼に相当する加入度数を差し引いた遠用眼鏡では、0.7程度の視力になります。網膜上よりピントが前にある状態です。
(Ⅲ)近くを見ても網膜の後ろにピントがずれないので、近くの文字がぼやけずに見えます。
この方法がフィットする装用者は限定されます。「弱めの眼鏡に慣れている人」「運転免許を持っていない人、またはペーパードライバー」「仕事がデスクワーク」という人達になります。



 
 

④眼鏡を外して、近くは裸眼で見る

 
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眼鏡の使い方としては、最もシンプルな方法です。「+2.50D ~ +3.00D 」の老眼加入度数が当てはまる年齢、近視の度数が「-2.50D ~ -4.00D」の人達は、眼鏡を外せば裸眼の明視距離がちょうど良く手元に合っています。
33cmでの近見視力検査で「近用度数が必要」という結果になったとしても、普段から33cm前後を自分の眼で上手に合わせて見ているので、老眼鏡や遠近両用をすすめない方が良いでしょう。
 
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「微量な近視と強度の乱視」または「強度の乱視」がある人も同様に、乱視の半分の度数をsph側に加算する事で強い近視となる為、「近くは自分の眼でよく見えますよ。」という患者さんは多くおります。