眼の筋肉と密接な関係にあります。
プリズム加工
眼鏡レンズのプリズム加工とは、斜視になっている眼の視線を補正する特殊な加工です。眼球はやや内側を向いた状態になっていて「内斜視」「外斜視」とは視線が正しく目標に向かない状態を言います。片眼は正しく目標に向いているが、もう片眼は内側や外側を向いているために物が2つあるように見える状態を言います。物が2つに見えるという症状は一日の中でも変動することが多く、「これでピッタリ」といったレンズを定めることが非常に困難と言えます。 ●通常、眼は内寄せ(寄り目)することは可能ですが、外向きにしたり、上下別々の動きを行なうことは出来ません。近視に多い外斜視であればプリズムに頼らず、度数を強めに入れて眼位補正を行なうことも多いですが、近くの物を見る時に必要な内寄せ運動が困難(輻輳-ふくそう-不全)であったり、上下複視の場合はプリズム加工された眼鏡が有効的です。 |
斜視の眼にはペンライトで光を当てると光の角膜反応が眼の向きよりも鼻側(内側)、耳側(外側)に現れます。これにより内斜視・外斜視を見極めます。母親が「この子は斜視では・・?」と思って幼児を連れて眼科に来院する事がありますが、幼いうちはまだ鼻の骨がきちんと出来上がっていないので、両眼が寄っているように見える事があります。光の角膜反応が眼の中心にあれば斜視ではありません。 |
プリズムを通った光が1m先で1cmずれる ⇒1プリズム 対象物とズレて見える間隔が大きいほど、1プリズム⇒2プリズム⇒3プリズムというようにズレを無くすためのプリズム量が増えます。眼の矯正度数と、どの程度のプリズム量が必要かは基本的に医療機関での斜視検査を要します。眼鏡レンズとして製作が可能なプリズム量には限界があります。 |
内斜視の矯正は、プリズム Base-out(外方)
内側に向き過ぎている眼「内斜視」は、眼球の内側に付いている内直筋の力が強く、耳側に付いている外直筋が伸びてしまい眼球が内側に寄っています。 光が外側に曲がるプリズム外方加工をして視線のズレを補正します。斜視検査で測定されたプリズム量の半分を左右に分けた眼鏡からスタートします。 |
【(Ⅰ)近くの物は1つに見えるが遠くの物が2つに見えてしまう。】 手元では視線のズレが発生しないが、遠くを見るにしたがって視線のズレが発生する人です。矯正に必要なプリズム量は少ない例が多いです。近用度数はプリズム加工が不要だが、遠用度数にはプリズム加工が必要。遠用と近用で矯正するプリズム量が異なるこういった場合は遠近両用眼鏡は作れません。 |
【(Ⅱ)遠くも近くも物が2つに見えてしまう。】 常に物が2つに見えてしまっている人です。矯正に必要なプリズム量が多くレンズの外側が非常に厚くなります。近用度数、遠用度数ともにプリズム加工を行います。遠用眼鏡・近用眼鏡を別々に、または、遠近両用眼鏡が可。 |
【子供の内斜視】 強い遠視がある子供が物を見る時に、過剰なピント合わせ調節と眼の内寄せを行う事が原因で起こる「調節性内斜視」です。 |
近年では、スマートフォンを長時間見続けているる事で眼球内側の筋肉が強くなり「寄り目が戻らなくなってしまう内斜視」も報告されています。※眼は近距離を見る時は遠距離を見ている時よりも内寄せされているのです。眼鏡処方箋のPDという箇所を見ると分かるように、遠用の瞳孔間距離と近用の瞳孔間距離は違います。 |
(Ⅲ)プリズム外方加工された眼鏡レンズ |
作成度数 遠近両用 【右眼】sph+1.50D 5プリズム外方 ADD+2.50 【左眼】sph+1.50D 5プリズム外方 |
外斜視の矯正は、プリズム Base-in(内方)
外側に向き過ぎている眼「外斜視」は内斜視と反対の状態で、眼を外側に向ける筋肉(外直筋)の働きが強すぎる。あるいは内側に向ける筋肉(内直筋)の働きが弱すぎると外斜視になってしまい、見ている物の横にもう一つ見えてしまいます。 光が内側に曲がるプリズム内方加工をして視線のズレを補正します。斜視検査で測定されたプリズム量の半分を左右に分けた眼鏡からスタートします。「外斜視」の他、隠れ斜視とも言われる「外斜位」は近視大国である日本人に多い症状です。 |
【(Ⅰ)(ⅠA)近視眼に多いプリズム内方加工】 外斜視を矯正する為のプリズム内方加工は近視眼に非常に多いのが特徴的。近視を矯正した眼鏡をかけても改善しない場合はプリズム加工が必要です。眼が外側に向いてしまっている外斜視は、遠くも近くも物が2つに見えてしまい、遠用眼鏡・近用眼鏡共にプリズム加工が必要です。 |
【(Ⅱ)(ⅡA)日本人は、外斜位が多い】 「外斜視=完全に眼が外側を向いてしまっている。」「外斜位=時々外側を向く時がある。」時々外側を向く眼を間欠性外斜視とも言い、普段は正常だけれど時々眼がずれて斜視の状態になる事です。眼に力が入っていない状態の時に現れやすいです。アンカバーテストを用いる事で外斜位かどうかが分かります。 眼は物を見ていないと外側を向きやすくなる傾向があります。近視には外斜位が多いと言われる理由として、ぼんやりしか見えていない眼鏡をかけていたり、室内で裸眼でくつろいでいると無意識に眼が外側を向いている事があります。眼鏡を装用して自ずと眼が真っすぐになれば特殊な加工は必要としません。 |
【外側を向く要素が強い人は強めに合わせた眼鏡を】 アンカバーテストを用いて外側を向く要素が強い人は、弱く合わせ過ぎた眼鏡では眼が外側を向きやすくなります。特に身体の成長過程の子供の場合、外斜視の傾向が強く現れているのであれば、あえて眼鏡を強めに合わせてあげた方が、眼に適度な緊張感が与えられて真っ直ぐな向きとなるので、その方が良い場合があります。弱く合わせてぼんやりさせてしまうと眼が外側を向きやすくなるからです。 ※眼科での検査にて判断が必要です。 |
(Ⅲ)プリズム内方加工された眼鏡レンズ |
作成度数 遠近両用 【右眼】sph+0.25D cyl-0.50D Ax90° 2プリズム内方 ADD+2.25 【左眼】sph-0.75D |
上斜視・下斜視の矯正は、プリズム Base-up/down(上下)
上側や下側に向き過ぎる眼 ⇒プリズム上方加工 / 下方加工 上斜視(じょうしゃし)、下斜視(かしゃし)とは、右眼か左眼どちらかの視線が上や下にずれた状態です。上直筋、下直筋、上斜筋、下斜筋の過動や不全、麻痺が原因で起こります。上斜視となる方の眼と反対側に頭を傾けて物を1つに見ようとします。 人の眼は左右別々に動かすことは出来ませんので、上や下に物がズレて見える場合のプリズム量は比較的しっかりと合わせる事が多いです。 |
一般的には下斜視とは呼ばず、上斜視と呼ぶ事が多い |
右眼で一点を見ている時に左眼が上斜視になっている場合は、左眼で一点を見ている時に右眼が下斜視となるので、左眼上斜視と、右眼下斜視は同じ意味合いになります。(※左眼下斜視と右眼上斜視も同様) |
プリズム上方・下方に加工された眼鏡レンズ |
作成度数 【右眼】 sph-2.00D 2プリズム 下方 【左眼】 |