不同視(ふどうし)

不同視とは、

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どちらか一方の眼がよく見える。または、どちらか一方の眼がよく見えない状態で、矯正した左右の度数の差が2.00D以上ある状態の事を言います。原則として眼鏡合わせが基本ですが、両眼共によく見える眼鏡を掛けるのは困難を強いられます。見えない方の視力を見える方の眼と揃えてしまうと、レンズを通して入ってくる像の形や大きさがチグハグとなり、脳が左右の像を1つに処理出来なくなって、物が二重に見えてしまう不等像(ふとうぞう)と言う症状が起こるからです。これには個人差も大きく、若年齢で順応性が高い頃から度数の差がある眼鏡をかけていれば大人になっても2.00D以上の差がある眼鏡を問題なく使いこなせますが、順応性が低い年齢になってからは左右の度数が大きく離れている眼鏡を使いこなす事は出来ません。

不同視の人が眼鏡を掛ける場合、出来る限り左右の度数差を少なくする事が重要です。それは、瞳の前に位置するレンズの光学中心から離れた部分を見た時に起こる不具合(二重に見えるなど・・)を減らすためです。眼鏡レンズは、眼と一緒に動いてくれませんし、レンズと眼との隙間「頂点間距離(ちょうてんかんきょり)」があるので、眼から脳に入る映像に拡大や縮小が起こりやすく、違和感が出てしまうのです。

そしてこの違和感が出ないのがコンタクトレンズです。コンタクトレンズの利点は「眼と一緒にレンズが動く」「眼とレンズとの隙間(頂点間距離)が無い」この利点からコンタクトレンズは、視野も広く不等像などの眼鏡にある不具合が出ないので、不同視の眼にはコンタクトレンズが有効なのです。眼鏡には不可能である両眼共に良く見える合わせ方をしても違和感が発生しません。
※不具合が出ないCL(コンタクトレンズ)だけを合わせている業者は、眼鏡合わせが不得手な場合が多いので気を付ける必要があります。コンタクトと同じ考え方で眼鏡を合わせると失敗します。

 
不同視(ふどうし)の分類

【近視性不同視】

(例)両眼共に近視。裸眼視力に大きな差があり、矯正した度数の差も2.00D以上ある眼。

【右眼】裸眼視力0.08
(矯正視力1.2 × sph-4.50D)

【左眼】裸眼視力0.03
(矯正視力1.2 × sph-7.00D)

【遠視性不同視】

(例)両眼共に遠視。裸眼視力に大きな差があり、矯正した度数の差も2.00D以上ある眼。

【右眼】裸眼視力1.2
(矯正視力1.5 × sph+0.25D)

【左眼】裸眼視力0.1
(矯正視力1.5 × sph+3.50D)

【乱視性不同視】

(例)遠視や近視の有無に関わらず、矯正した左右の乱視(cyl)の度数の差が2.00D以上ある眼。

【右眼】裸眼視力0.1
(矯正視力1.2 × sph-3.00D cyl-0.25D Ax180°)

【左眼】裸眼視力0.06
(矯正視力1.2 × sph-3.00D cyl-3.00D Ax180°)

【雑性(ざつせい)不同視】
一方の眼が遠視、一方の眼が近視というように左右の性質が異なる眼。
矯正した度数の数字だけを見ると同じような数字ですが、符号が異なります。この左右差は2.25D。

【右眼】裸眼視力0.8
(矯正視力1.2 × sph+1.00D

【左眼】裸眼視力0.5
(矯正視力1.2 × sph-1.25D


順応出来るレンズの左右差
小児 3.00D ~ 4.00Dも可能
(順応性が高い)
成人 2.00Dまでが原則
(個人差あり)
高齢の場合 1.00Dが理想



 
 

近視性不同視

 

眼鏡合わせのPoint!

近視が多い日本人には学生にも大人にも多く、遺伝が要因となる近視の眼に見られます。基本的な眼鏡の合わせ方としては、近視が弱い方の眼が遠くを見る役目を果たすように合わせ、近視が強い方の眼は近くを見る役目を果たすように合わせます。近視が強い方の眼は必要以上に度数を強くせず、読書が充分に可能などの「用事が足りる程度」に留めておいた方が両眼視で歩行の妨げになりません。
※近視が強い方の眼が優位眼(利き目)となっている事もあります。その場合はそちらの眼が遠くを見る為の眼になります。
 
 
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視力が良い方の眼

【裸眼視力0.9】矯正しても-0.75D程度の弱い近視の眼は、普段から自然とこちらの方で遠くを見る習慣になっています。視力が良い眼というのは近くを見た時に網膜の後ろで焦点が結ばれます。矯正するとわずかでも度数が検出されるからと言って更に遠方が見えるように合わせてしまうと、近距離を見た時に裸眼の時よりも焦点が網膜の後ろで結ばれるので、今までとちょっと違う見え方になります。
生活に支障がない裸眼視力があれば無理に度数矯正をするのは控え、 plane(平面 ±0.00 )の方が今までと同じ感覚になります。老眼の年齢になると尚更plane(平面 ±0.00 )の方が手元が楽なので、『片眼は遠くを担当、片眼は近くを担当』というモノビジョンが自然に決まりやすくなります。
 
 
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視力が悪い方の眼

【裸眼視力0.1】0.1程度の裸眼視力は遠くが見えませんが、近くを見た時に網膜上で焦点が結ばれるので近距離の物や文字が眼から30cm ~ 35cmの所ではっきり見えます。近くを見る時は自然とこちらの眼を使う習慣がありますから、遠くが見えるように合わせ過ぎない事が重要。また、老眼の年齢になると眼鏡を外せば近くが丁度良く見えるのでこちらの眼が老眼鏡の代わりになる便利な眼です。『老眼だからと言われて遠近両用眼鏡を作ったが、手元は眼鏡を外して見ている』という役に立っていない遠近両用眼鏡を持っている人は以外に多く居るのです。近視が強い方の眼は、その眼の利点に合わせる必要があります。