雑性不同視

雑性不同視とは、左右それぞれが違う性質の眼です。

 

片眼それぞれが違う屈折異常(性質)の眼を雑性不同視と言い、それを矯正するレンズも左右違う符号のレンズを使います。
片眼が遠視(または遠視性乱視)
⇒ 矯正は凸レンズ

片眼が近視(または近視性乱視)
⇒ 矯正は凹レンズ

片眼が正視(または近視性単性乱視)
⇒ 矯正は平面または凹レンズ

片眼が遠視(または遠視性乱視)
⇒ 矯正は凸レンズ

片眼が正視(または遠視性単性乱視)
⇒ 矯正は平面または凸レンズ

片眼が近視(または近視性乱視)
⇒ 矯正は凹レンズ



 

雑性不同視屈折図
下記画像例のように、一方の屈折異常と一方の屈折異常が異なって、矯正した度数の左右の差が2.00D以上になる眼を「雑性不同視」と言います。片眼が遠視、片眼が近視という例が非常に多く、その矯正にはプラスレンズとマイナスレンズが必要になります。片眼が+1.00D、片眼が-4.00Dのように度数だけでも2.00D以上の差がありますが符号も異なりますので、5.00Dの左右差がある眼です。

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【右眼:遠視】【左眼:近視】です。網膜の後ろで焦点を結ぶ遠視の眼と、網膜の手前で焦点を結ぶ近視の眼、それぞれを網膜上で焦点が結ばれるようにする為には、右眼は凸レンズ、左眼は凹レンズが必要になります。



 

眼の特性を考慮した眼鏡合わせが必要

 

左右が同じ屈折異常の不同視も、左右の屈折異常が違う雑性不同視も、必ずどちらかの眼を遠距離用に使っていて、どちらかの眼を近距離用に使っています。屈折異常の特性に着目しましょう。
 
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遠距離を担当している眼

(Ⅰ)遠方を見る時は無意識に遠視の眼を使用しています。雑性不同視の場合は弱視になるような強度の遠視は見られず、遠視だけにせよ乱視もあるにせよ、比較的弱度の眼が多いものです。若い時は調節力も充分に備わっており、多少の網膜より後ろにずれている焦点ならば瞬時に網膜上に合わせる事が可能で、良い視力を得られます。

(Ⅱ)老眼が強くなる年齢では調節力が低下して遠方の視力も落ち始めますが、元来こちらの眼を遠く用に使っていたので視力が落ちて遠視矯正用のレンズが必要になっても、こちらの眼が遠距離を担当するのが自然です。

 
 
 
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近距離を担当している眼

(Ⅰ)近視の遠方視は網膜よりも前で焦点が結ばれている為に遠くは見えませんが、近方視になると遠視のように水晶体を厚くさせる調節力を必要とせずに網膜上に焦点が合うので鮮明に近距離が見えるという利点があります。

(Ⅱ)近視には一定の優れた条件があります。『-3.00D前後の近視の眼は、眼から30cm前後まではっきり見える。』という歳をとっていても老眼鏡が不要という非常に有利な条件があります。しかし、-3.00Dよりも強い近視の眼と、-3.00Dよりも弱い近視の眼は、眼から30cm前後の所ではっきり見えないのです。画像のように近視が-4.00Dならば25cmの所ではっきり見えます。近視が-2.00Dならば逆に50cmまで遠く離さないと見えません。不同視も雑性不同視も自然と近距離は近視の眼が担当しますが、裸眼のままで良いか否かはその人の眼の度数次第で変わります。

 
 
眼鏡合わせのPoint!

【遠距離を担当する眼】老眼が進んで調節力が落ちてくると遠視が現れます。その遠視が進行すると遠くも中間もピンボケ状態になるので、老眼鏡以外に遠くも凸レンズで見ないと見えなくなります。放置しておくと頭痛・肩こり・眼精疲労の要因となるので遠視を矯正する必要があります。眼鏡が必要になっても今まで近距離以外を見る時はこちらの眼を使っていたので、今までと同じような使い方にする必要があります。

【近距離を担当している眼】近視の強さを考える事が重要です。それは、『近視の強さ別による、裸眼で見える距離』が鍵となり、本人が裸眼で手元がちょうど良い見え方ならばレンズで合わせてはいけません。逆に近視が強過ぎて裸眼では文章に顔を近づけ過ぎる人もいます。このような場合は、顔を近づけずに適度な距離で文字が読める微量な度数が必要になります。一方の遠視の凸レンズとこちらの眼の凹レンズとの差に注意して眼鏡合わせを行う必要があり、充分な両眼視での装用テストを要します。